2019年5月4日

とうふ屋で人と人とをつなぎ、町を元気に / 湯河原十二庵 とうふ・生ゆば専門店

written by storyMarche
in category 出店者紹介

【店名】湯河原十二庵(ゆがわらじゅうにあん)
【ジャンル】とうふ・生ゆば専門店
【ご担当者】浅沼 宇雄さん
【拠点所在地】神奈川県足柄下郡湯河原町

子どもに安心して食べさせられるものを

湯河原で約10 年前から、とうふと生ゆばの専門店「十二庵」を営む浅沼宇雄さんの、元々のご職業はなんとSE(システムエンジニア)。東京でIT業界の真っ只中に身を置いてきました。

そんな浅沼さんがとうふ屋を始めるに至ったきっかけは、地元の同窓会で会った同級生に「子どもに安心して食べさせられるものがない」と言われたことでした。

時はまさに、中国製冷凍餃子事件が起こった頃のこと。食べ物を作る人と、それを購入して食べる人の距離が遠くなってしまった現代において、お互いの顔が見えない中で、経済的な対価を得るためだけに本来食べ物として用いてはならない物を使って加工食品を作り、それが流通過程でも見つかることなく、最終的にそれを食べた日本の生活者の体調に異変が起きて初めて真相が発覚しました。

同級生の一言で、一気に「食の問題」が浅沼さんにとって「自分事」になった瞬間でした。

次第に寂しくなっていく故郷の町、これでいいのか?

一方で、浅沼さんにはもう一つ気にかかることがありました。逗子に生まれ、中学・高校時代を南足柄で過ごした浅沼さんが、高校の時の友人と飲んでいた時のこと。ご実家のある湯河原の町が、だんだんと元気がなくなっているという話になったのです。

昭和の頃は温泉のあるリゾート地として栄えた湯河原も、近年は箱根や熱海が高級路線のリゾート地として賑わう片側で、少しずつ寂れていっている感じが否めません。

「僕らの次の世代の人達は、この町のことをどう思うんだろう?」

浅沼さんに、そんな疑問が湧いたそうです。

「子ども達が安心して食べられる食」、「次世代が幸せに暮らせる楽しい町」。こうした疑問と課題を見つけた浅沼さんは、当時は東京に住んでいましたが、農業や地元に関わりたいと思うようになりました。

独学でとうふ屋を始めてみた

浅沼さんは東京に住みつつも、安心した素材を使って地元で何かできないかと、仲間達と「地元ごはん」という活動を始めます。そのうち、まずは自分自身で、地元の土台作りになるようなことをしようと考えるようになりました。

ある日、ひょんなことから知人ととうふ屋の見学に行くことになった浅沼さん。とうふが良質な植物性タンパク質・低カロリーな高機能食品であること、作り方もシンプルであることを知り、「そう言えば地元の湯河原には、温泉場でありながらとうふ屋が無い」ということに気がつきました。

とうふは農作物である大豆からダイレクトに作られるが故に、味はもちろんですが、素材の品質や安全性にも直結する食べ物です。しかもとうふを作る過程で生まれる豆乳やおからを含め、作って売って終わりではなく、素材として他の飲食店などいろんな人ともコラボレーションできる可能性を感じたそうです。

そこで浅沼さんは独学でとうふ作りを勉強し、湯河原にとうふ屋を開くことにしました。

温泉街と駅前の中間に店を出してまちづくり

浅沼さんは、とうふ屋を湯河原のどこに作るか考えた末、温泉街と駅前のちょうど中間辺りに出店することにしました。そのエリアは盛り場と盛り場の間にあるので、普通に考えれば商売が大繁盛するような場所ではありません。

「温泉街と駅前の人の流れが分断されたような形になっているのが、気になっていたんです。そこで、それをどうにかつなげられないか、交流を生むことができないかと、あえて挑戦することにしました」

と浅沼さん。お店を始めて3ヶ月程した頃、ちょうど東京のSEの仕事にも節目が訪れ、それを機に浅沼さんは軸足を湯河原へ完全に移しました。

2009年10月2日(豆腐の日であり、浅沼さんの結婚記念日でもある)にお店を始めてから10年、その場所でとうふ屋を続けたところ、やっている意味が出てきたと浅沼さんは言います。商売をする中で湯河原の多くの人と知り合うことができ、最近では町のカフェ運営を委託されたり、若い職人と共同で新しい飲食店を出したりと、地域に人の流れや賑わいを作ることに関わるようになってきたそうです。

とうふの姿をしたラブレター

いちばんの人気商品は汲み上げ湯葉。他店にはない驚くほど濃厚な大豆の甘みが特徴です。そんな十二庵の商品の一つひとつに、浅沼さんの、食の安心への思い、地元の町への思いがたっぷり詰まっています。

「十二庵の商品は『愛』、とうふの姿をしたラブレターだと思っています。茅ヶ崎ストーリーマルシェに出させていただいてまだ日が浅いですが、松尾建設さんの家族のようなつながりの中に僕も関われたらうれしいなと感じています。僕にとってのまちづくりは、地元の人に愛されるお店が増えていくことです。湯河原が僕の主舞台ですが、茅ヶ崎にもいろいろと縁があるので、その中の一員に加われるように楽しくやりたいなと思っています」

地域を思う気持ちの熱さは、茅ヶ崎も湯河原もきっと同じ。お互いの魅力を楽しみ合える良い関係が、十二庵のおとうふを通じて作れたら素敵ですね。

【お店情報】
湯河原十二庵(ゆがわらじゅうにあん)
所在地:神奈川県足柄下郡湯河原町170-1 
TEL:0465-43-7750
営業時間:9:00〜18:00(水曜休)
URL:http://www.12an.jp/